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これだけ!世界史
近世西欧各国史
この章では、近世における西欧各国の歴史を見ていきましょう。この時代は主に国王の権力が増大していく時代です。それが各国で具体的にどのように実現したのか、ということを押さえておきましょう。
初めにスペインの歴史を紹介します。スペインではカルロス1世が即位しました。カルロス1世はハプスブルク家の君主であり、スペインと神聖ローマ帝国両方の君主であり、広大な領土を支配しました。ちなみに、神聖ローマ帝国ではカール5世と呼ばれていました。
その後カルロス1世が亡くなると神聖ローマ帝国とスペインはバラバラになります。カルロス1世のあとにスペインを支配したのがフェリペ2世です。
フェリペ2世のときにはレパントの海戦でオスマン帝国に勝利し、地中海の覇権を握ることに成功します。さらにフィリピンを征服し、マニラという都市を建設したり、ポルトガルを併合したりすることによって、太陽の沈まぬ国と呼ばれるほど広大な植民地を獲得することに成功しました。
一方で、アルマダの海戦でイギリスに敗北し、スペインの覇権が動揺することになります。
- Original by Lucio silla, modification by Paul2, recreated by Schoeneh, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- カルロス1世の支配領域
次に覇権を握ったのはオランダです。オランダはジャワ島にバタヴィアという都市を建設しました。同様にアフリカの南端にはケープ植民地を建設し、これが現在の南アフリカ共和国のルーツになります。台湾も支配しますが、鄭成功によって台湾は奪われました。
さらに、アンボイナ事件という、オランダ人によって東南アジアのイギリス人が処刑されるという事件が発生しました。これによって、イギリスは東南アジアから撤退し、インドの植民地経営へと向かっていきます。
- CC BY-SA 3.0, Link
- オランダの植民地
イギリスでは、百年戦争が終結すると、薔薇戦争と呼ばれる内戦が勃発し、ランカスター家とヨーク家が争いますが、ランカスター家のヘンリがヘンリ7世として王位につきました。ヘンリ7世以降の王朝をテューダー朝と呼びます。
ヘンリ7世のあとにはヘンリ8世が即位しました。ヘンリ8世は教皇と対立したため、新たにイギリス国教会を創設しました。ヘンリ8世は首長法により国王がイギリス国教会の首長であるとしました。
エリザベス1世のときには統一法が出されたことでイギリス国教会が確立しました。対外的には、彼女の時代にアルマダの海戦でスペインのフェリペ2世を破ることに成功しました。また、エリザベス1世はイギリス東インド会社を立ち上げ、これにアジアの貿易を独占させました。
アンボイナ事件のあとには、インドに進出し、マドラス、ボンベイ、カルカッタといった都市を獲得しました。ヴァスコ=ダ=ガマが到達したのはカリカットで別の場所なので混同しないようにしましょう。カリカットはインド西岸なのに対してカルカッタはインド東岸です。
さらに、北米にはヴァージニア植民地を建設し、北米の植民地支配が本格的に行われるようになりました。
- Formerly attributed to George Gower, Public domain, via Wikimedia Commons
- エリザベス1世
フランスではユグノー戦争と呼ばれる、ユグノー(カルヴァン派)とカトリック信者との間で内戦が勃発していました。サンバルテルミの虐殺でユグノーが虐殺されてしまうということもありました。
その後、ヴァロワ朝は断絶し、アンリ4世からブルボン朝による統治が行われます。アンリ4世はナントの王令を発出し、ユグノーの信仰を認めたことで、ユグノー戦争を終結させました。
- François Dubois, Public domain, via Wikimedia Commons
- サンバルテルミの虐殺
その後、フランスではルイ14世が即位しました。宰相のマザランは貴族らの反乱であるフロンドの乱を鎮圧し、ルイ14世の絶対王政に繋がっていきます。彼の絶対王政を象徴するものとして、バロック様式と呼ばれる手法によって建設されたベルサイユ宮殿を挙げることができます。
財務総監のコルベールは、重商主義という国家が積極的に経済に介入すべきとする考え方に基づいた政策を行いました。
また、フランスもインドのシャンデルナゴル、ポンディシェリという都市を獲得しました。
- イギリスとフランスのインド進出
さらに、フランスもイギリス同様北米に対して植民地を建設していたので、ルイ14世の死後にはイギリスとフランスとの間で植民地を巡った戦争が発生します。まず、フレンチ=インディアン戦争という戦争にイギリスが勝利し、パリ条約によりイギリスはフランスからカナダ、ミシシッピ川以東のルイジアナ、フロリダを獲得しました。
インドでも、イギリスがプラッシーの戦いでフランスに勝利したことによって、イギリスのインド支配がさらに進むことになります。
- Jon Platek, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
- ピンクの土地がパリ条約によって新たにイギリスが獲得した土地
確認問題
波線部を、PCであればカーソルを合わせる、スマートフォンであればタップすることで答えが表示されます。
- カルロス1世(カール5世)は、神聖ローマ帝国とスペインを支配した。
- 重商主義とは、国家が積極的に経済に介入すべきとする考え方である。