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これだけ!世界史

近世ヨーロッパの文化

 ここでは近世ヨーロッパの文化のうち重要なものを取り上げます。正直そこまでここの範囲が入試頻出というわけでもないと思うので、余裕がなければここは飛ばしても大丈夫だと思います。

 近世のヨーロッパにおいては、合理的な考え方が発達し、科学が発展しました。これを科学革命といいます。科学革命ではどういったことが発見されたのかを具体的に見ていきましょう。まず、ニュートン万有引力を発見しました。次に、ジェンナー種痘法を発明し、天然痘の予防に成功しました。さらに、ハーヴェー血液循環説を唱え、現代の医学に貢献しました。

ニュートン
James Thronill after Sir Godfrey Kneller - http://www.newton.cam.ac.uk/art/portrait.html, パブリック・ドメイン, リンクによる
ニュートン

 次に哲学について見ておきましょう。フランスやドイツでは合理論が発達し、演繹法という考え方が用いられました。合理論や演繹法は、人間の理性や論理性を重視する考え方です。例えば、演繹法では「人間は死ぬ」という一般的な法則がまずあって、ソクラテスは人間であるから、ソクラテスも死ぬ、という風に考えます。
 合理論の重要な哲学者としてデカルトを上げることができます。デカルトは 『方法序説』という書物の中で、「我思う、故に我あり」という言葉を残しています。この言葉の意味は、端的にいうと人間の本質は考えるという能力であるということです。

デカルト
After Frans Hals, Public domain, via Wikimedia Commons
デカルト

 一方で、イギリスでは経験論が発達し、帰納法という考え方が用いられました。経験論や帰納法は、観察や実験などの経験を重視する考え方です。例えば、帰納法では「ソクラテスは死んだ」、「アリストテレスも死んだ」という事実を観察することによって、「人間は死ぬ」という法則を導き出します。
 経験論の重要な哲学者としてフランシス=ベーコンを挙げることができます。中世のロジャー=ベーコンと混同しないようにしましょう。

フランシス=ベーコン
National Portrait Gallery, Public domain, via Wikimedia Commons
フランシス=ベーコン

 グロティウスは「国際法の祖」と呼ばれており、『海洋自由論』や『戦争と平和の法』で国際法について論じました。
 その後の時代には、社会契約説という考え方が現れてきます。社会契約説の細かい内容は論者によって異なりますが、大まかには政府は国民の信託によって統治を行なっているという内容です。
 具体的には、まずホッブズが『リヴァイアサン』で、自然状態(政府がない原始的な社会)では人々は「万人の万人による闘争」であったとし、これを終わらせるために人々は政府を樹立したとします。ただし、ホッブズは絶対王政を擁護している点に注意しておきましょう。
 ロックは、『統治二論(市民政府二論)』で人民には、政府が人民の権利を制限する場合には抵抗権(政府に対抗する権利)や革命権(新しい政府を樹立する権利)を認めました。
 ルソーは『社会契約論』で人民に主権があるとし、フランス革命に影響を与えました。

『リヴァイアサン』の表紙
Abraham Bosse, CC0, via Wikimedia Commons
『リヴァイアサン』の表紙

 また、近世においては啓蒙思想という、理性を用いてより良い社会をつくっていこうという考え方が生まれ、プロイセンロシアなどでは啓蒙専制君主が誕生しました。
 主な啓蒙思想家として、まずモンテスキューを挙げることができます。彼は『法の精神』で司法、行政、立法の三権分立を訴え、近代国家システムの樹立に貢献しました。
 ディドロダランベール『百科全書』を編纂し、知識の体系化に成功しました。

モンテスキュー
After Jacques-Antoine Dassier, Public domain, via Wikimedia Commons
モンテスキュー

 経済の分野では、まずケネー自由放任主義を説き、政府が経済への介入をすべきでないとしたり、重農主義を説き、経済における農業の重要性を主張したりしました。
 アダム=スミスも同じように『諸国民の富(国富論)』で、神の見えざる手によって経済市場のバランスは保たれるので、国家による経済の介入をおこわないよう主張しました。

アダム=スミス
Etching created by Cadell and Davies (1811), John Horsburgh (1828) or R.C. Bell (1872)., Public domain, via Wikimedia Commons
アダム=スミス

 最後にこの時代の美術についても説明したいと思います。絵画では、レンブラントが「夜警」という絵画を描いたということを覚えておきましょう。これは光と影の描写が特徴的です。
 文学では、デフォーの『ロビンソン=クルーソー』とスウィフトの『ガリヴァー旅行記』が入試によく出題されます。デフォーも『ロビンソン=クルーソー』もどちらも最後に伸ばし棒がついているのでそれで対応付けて覚えると良いと思います。

「夜警」
「夜警」

確認問題

波線部を、PCであればカーソルを合わせる、スマートフォンであればタップすることで答えが表示されます。

  1. ジェンナーの種痘法により天然痘の予防に成功した。
  2. ケネーは自由放任主義により国家が経済に介入すべきでないと主張した。